クラグオー(Kura Guo)とは、2010年生まれの日本の競走馬である。鹿毛の牡馬。
血統
父クラキングオー、母クラシャトル、母父ワカオライデンという血統…といって済ますのはどう考えても説明不足になる血統であろう。
まず父はキングとオーが被ってる気もするクラキングオー。その父はスズカコバンといい、マルゼンスキー直仔で宝塚記念を勝利した後に種牡馬入りし、地方競馬向けとして一定の人気を集めていた。なおクラキングオーの母父シングルロマンはナイスダンサー産駒のGⅢ馬であったが、繁殖入りした産駒はクラキングオーの母クラファストレディのみであった。
ホッカイドウ競馬に所属して北海優駿、王冠賞など地方重賞を5勝し、交流重賞にも出走していた馬であったがレース中に故障。予後不良寸前であったが、生産者で馬主でもある倉見牧場代表の倉見利弘によって治療が決断された。その後は功労馬として倉見牧場で過ごしていたが、さっきからクラ○○だらけなことからも分かるように同牧場は小規模ながらオーナーブリーダーでもあったため、種牡馬入りすることとなった。
とはいえ小規模な牧場故に近親とならない配合が限られていたこともあって、2010年に13歳で早逝するまでに種付けした繁殖牝馬は2頭のみ。クラシャトルに3回種付けして産駒が2頭、クラダッチューノに3回種付けして産駒が1頭[1]生まれたのみ…つまりクラキングオー産駒は生涯に3頭だけであった。
一方の母クラシャトルはワカオライデン産駒。クラグオーの母父に当たるワカオライデンはGⅢ勝利後に脚部不安もあって笠松競馬に移籍したという経歴を持ち、種牡馬入り後にはライデンリーダーなどを輩出して地方競馬のリーディングサイアーまでに上り詰めた馬であった。
また、クラシャトルの牝系を辿ると[2]ウェットセール[3]という馬に辿り着く。この馬は小岩井農場が1907年に輸入した牝馬20頭の内の1頭であり、その中にはビューチフルドリーマー[4]、フロリースカップ[5]、アストニシメント[6]など現代日本競馬においても活躍馬を出している牝馬も多い一方で、ウェットセールはあまり繁栄しなかった。100年以上の歴史の中で目立つのは菊花賞馬バンブービギン、ファルコンステークス勝ち馬カズサライン[7]程度であり、当然牝系としても衰退傾向である。
そんな血統のクラシャトルであったが、クラキングオーと同じく北海優駿など重賞を5勝[8]して繁殖入り[9]。牧場の繁殖牝馬の中では最上級ともいえるこのクラシャトルにクラキングオーを種付けして生まれた先述の2頭がクラキンコとクラグオーである。
クラキンコはクラキングオー唯一の初年度産駒であったが、ホッカイドウ競馬でデビューすると交流重賞のエーデルワイス賞2着、両親の勝利した北海優駿含む北海道三冠を達成というまさかの偉業を達成。
そんなクラキンコが北海優駿に勝利する直前の2010年5月5日に生まれたのが、本記事の主題であるクラグオーである。
馬名の意味は「冠名+父名より」。因みに全姉の由来は「冠名(クラ)+父名より(キン)+子」…つまり「父名より」とは姉が受け継がなかった「グオー」部分である。もしかして地味に珍名馬では。
競争成績
2歳(2012年)
ホッカイドウ競馬の堂山芳則厩舎に入厩し、5月の新馬は4着も、6月の2戦目の未勝利戦では逃げて5馬身差で勝利。
同月のOPは逃げて2着も、7月のOPのバゴ賞では番手につけて7馬身差で2勝目。
8月にはJRAの2歳芝OPであるクローバー賞[10]に出走したが、ここは流石に9番人気9着。
続いて8月と9月にはOPのJRA認定ウィナーズチャレンジ競走で2勝。
10月には川崎競馬場で行われる地方重賞である鎌倉記念に出走。単勝2.1倍の1番人気に支持され、3番手に付けたが後の東京ダービー馬インサイドザパークにゴール前で捕らえられてクビ差で敗れ2着。
11月には北海道2歳優駿(JpnⅢ)に阪野学を鞍上に出走したが、6番人気7着。
続いて12月には川崎競馬場で行われる全日本2歳優駿(JpnI)[11]に五十嵐冬樹を鞍上に出走したが、11番人気10着。
3歳(2013年)
冬季は門別競馬場でレースが行われないため川崎競馬に一時移籍。1月の若竹特別では斤量が最重ながら5勝目となったが、2月のうぐいす特別は1番人気4着。
4月には北海道三冠の1冠目北斗杯に出走予定であったが、感冒のために取り消し。北海優駿も出走せず、7月の日高こんぶ特別で復帰したが3番人気3着。続いて3冠目となる王冠賞に出走したが、一時先頭に立ったものの3馬身差で2着。
9月のヤングジェネレーションカップ、10月の日高町長杯門別ししゃも祭り特別では連勝し7勝目。
11月には水沢競馬場で行われる地方重賞であるダービーグランプリに出走。3番人気に支持されるが外枠の影響もあってかクビ差で4着となった。
4歳(2014年)
今年は船橋競馬に一時移籍し、2月の如月特別3着、3月のアクアマリン賞競走2着、4月のアンデルセン特別は2馬身半差を付けて8勝目。5月のOPの皐月盃で3着、6月の短夜賞で3着となった後門別に戻った。
7月の手稲山ミヤマスミレ特別はウルトラカイザー[12]に2馬身差で敗れて2着。8月のアルーダ日高西部特別も2着、9月の新冠町長杯レコードな町新冠特別ではウルトラカイザーに今度は3馬身差で敗れてまたしても2着。
同月には地方重賞のステイヤーズカップに出走。宮崎光行を鞍上に3番人気に支持されると、好位でレースを進めて最後は競り合いを制し半馬身差で9勝目で重賞初勝利。同重賞は父クラキングオーが2勝したものであり、親子制覇となった。なお、ステイヤーズカップはダート2600mというダートとしてはかなり長距離の部類に属する競走であり、2014年で第58回という歴史ある重賞であったが2015年以降は施行されていない。
10月にはリンドウ特別で10勝目を挙げ、ファン投票3位で臨んだ11月の地方重賞の道営記念[13]は、2番人気に支持されたものの15着と惨敗。
5歳(2015年)
5月のクレマチス特別は2番人気も8着。6月のハービンジャー・プレミアムも3着。7月には地方重賞の星雲賞に出走して5着。
種牡馬入り
星雲賞以降は動向が不明であったが、2016年2月に地方競馬登録が抹消され引退。3月には種牡馬登録されたことが判明した。装蹄師としてクラキンコを担当していた門別敏朗氏が倉見牧場の姿勢に共感し、自らの経営するT・H・Tステーブルで種牡馬にしたいと申し出たという。
ここまで国内で代数が続いたのは、種牡馬入り時点では*トウルヌソル→クモハタ→メイヂヒカリ→オーシャチ→アイアンハートと、*パーソロン→メジロアサマ→メジロティターン→メジロマックイーン→グランアクトゥール、ギンザグリングラスくらいであった。
因みに2024年現在では唯一のマルゼンスキー直系であるのみならず、国際的に衰退傾向にあるニジンスキー系の種牡馬としても国内唯一である。
種付けされた牝馬(2023年まで)
ポンデュガール
初年度の2016年に種付けされた産駒が牡馬のクラモンであったが、後に去勢された。
トゥバン
2016年の種付けで牝馬のハナバンダ、2017年の種付けで牝馬のクレモナ、2018年の種付けで牝馬のモンシャトールが生まれている。
クレモナは園田の地方重賞であるのじぎく賞を勝利したほか、高知優駿3着、ロジータ記念5着などの成績を残した。
エーシンラピッド
2019年の種付けで牝馬のリーデレ、2020年の種付けで牡馬のマルゼンスキーツーが生まれている。
マルゼンスキーツーはマルゼンスキーの4×4というクロスを持っていて、名馬の系統を残すことを目標としている馬主の所有となっている。
クラフィンライデン
クラフィンライデンの母はクラダッチューノ。現状唯一の倉見牧場の繁殖牝馬であり、やはりワカオライデンの2×3という強いインブリードが発生してしまっている。
スティッチ
2022年の種付けで牝馬が生まれている。2023年は不受胎であったようだ。
血統表
クラキングオー 1997 鹿毛 |
スズカコバン 1980 黒鹿毛 |
マルゼンスキー | Nijinsky II |
*シル | |||
サリュウコバン | *ネヴァービート | ||
モンテホープ | |||
クラファストレディ 1992 鹿毛 |
シングルロマン | *ナイスダンサー | |
ヒジリジョオー | |||
カネイゼーア | オンワードゼア | ||
*クヰーンカヌート | |||
クラシャトル 1991 栗毛 FNo.9-b |
ワカオライデン 1981 栗毛 |
*ロイヤルスキー | Raja Baba |
Coz o'Nijinsky | |||
オキワカ | *リマンド | ||
ワカクモ | |||
クラネバダンサー 1980 鹿毛 |
*ネヴァーダンス | Never Bend | |
Exclusive Dancer | |||
ブラックキリー | *テッソ | ||
マツリュウ |
クロス:Northern Dancer 5×5(6.25%)
関連リンク
- クラキングオーを訪ねて~倉見牧場
- 長距離重賞・ステイヤーズカップはクラグオーが父仔制覇
- 2021年05月13日 のじぎく賞(GDJ)
- 【血統値】「マルゼンスキーツー」とは何者か? 大切につながれてきた〝血の結晶〟
- 【血統値】〝テンポイントの甥〟も誕生 マルゼンスキーの系譜はまだまだ続く!? クラグオー産駒〝最前線〟
関連項目
脚注
- *地方で4勝のクラオージクン
- *余談であるがクラシャトルの半妹クラベストダンサーは18歳まで走っていた
- *当時の表記では”ウエツトセール”
- *牝系子孫にテイエムオーシャン、ホエールキャプチャなど
- *牝系子孫にスペシャルウィーク、ウオッカ、レイパパレなど
- *牝系子孫にメジロマックイーン、キングズソードなど
- *netkeibaの血統表では2024年10月時点でボニーナンシーの牝系に属していたが恐らく間違い
- *その他地方重賞時代の北海道3歳優駿(JBC2歳優駿の事実上の前身)など
- *因みにエンプレス杯でのホクトベガとの対戦経験も有している。
- *因みにこの時の3着はロゴタイプ
- *因みに後のJ・GI馬アップトゥデイトが3着
- *65戦37勝で後に種牡馬入り
- *ウルトラカイザーが勝利
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