タガノテイオー(Tagano Teio)とは、1998年生まれの日本の元競走馬。黒鹿毛の牡馬。
将来を嘱望されながら若くして散った、悲運の名馬として知られる。
主な勝ち鞍
2000年:東京スポーツ杯3歳ステークス(GⅢ)
概要
基本情報
父は*サンデーサイレンス、母はカフェドフランス(母父Danzig)。
1998年4月10日、社台ファームで生まれ、同年のセリでタガノの冠名で知られる八木良司オーナーに4000万円で落札された。
所属は栗東の松田博資厩舎。デビューから5戦全てに藤田伸二が騎乗した。
デビュー〜朝日杯参戦まで
2000年9月2日、3歳新馬でデビュー。中団好位から鋭く脚を伸ばすも、前を行く一頭を捉えきれずに2着。この優勝馬が言わずと知れた名馬ジャングルポケットだった。この新馬戦はタガノテイオー・ジャングルポケットの他にもメジロベイリー、ダイイチダンヒルといった実力馬が出走しており、出走馬8頭が全頭勝ち上がったことから、後に伝説の新馬戦として語り草になる。
中1週の折り返し新馬戦では、再びダイイチダンヒル・メジロベイリーらを抑えて快勝。
連闘でGⅢ・札幌3歳ステークスに参戦。後のGⅠ3勝馬・テイエムオーシャンが逃げる展開の中、早めの仕掛けで直線先頭に並びかけるものの、大外からまたしてもジャングルポケットの強襲に遭い惜しくも2着。しかし連闘のコンディション不良の中テイエムオーシャンに先着し、ジャングルポケットと二度渡り合ったことは、後に彼の評価を大いに高めることとなる。
11月、東京スポーツ杯3歳ステークスでは未勝利で格上挑戦したOP戦でレコード勝ちし早くもクラシック候補と目されたウインラディウスが1番人気、新馬戦を圧勝した外国産馬のグラスミライに2番人気を譲り、タガノテイオーは3番人気となる。
しかしレースでは逃げるヒマラヤンブルーを捉え、後の重賞3勝馬ウインラディウスを全く寄せ付けず危なげなく快勝。八木オーナーに重賞初勝利をプレゼントすると、陣営はGⅠ・朝日杯3歳ステークスへの出走を決める。
朝日杯3歳ステークス、魂の激走
この年の朝日杯は宿敵・ジャングルポケットや、新馬戦で強烈な脚を見せたアグネスタキオン、前走で圧巻のレコードをマークした怪物クロフネといった面子がラジオたんぱ杯に向かったこともあって、ジャングルポケット以外に先着を許していないタガノテイオーは優勝候補最右翼と目され、当日も1番人気に推された。
とはいえ新馬戦でクロフネを下したエイシンスペンサー、雪辱に燃えるウインラディウス・メジロベイリー、京王杯の覇者テイエムサウスポー、盛岡の星ネイティヴハート、後の千直王カルストンライトオといった良メンバーが揃っている。
レースではカルストンライトオが逃げる中、タガノテイオーはいつものように中団好位待機。直線、前が開くと、タガノテイオーは待ってましたと言わんばかりに自慢の脚を伸ばす。ところが・・・
ボキッという音を藤田ジョッキーは聞いたそうである。残り1ハロン付近で、左第1趾骨粉砕骨折を発症したのだった。
おそらく想像を絶する激痛だったと思われる。しかし、タガノテイオーは最後まで走ることをやめず、メジロベイリーには及ばなかったものの、なんと2着に入線した。骨折した脚から血を滲ませながらメジロベイリーを追いかけるタガノテイオーの、壮絶な写真が残っている。
レース直後、すぐ下馬した藤田ジョッキーを見て、観客もはじめて只事でないアクシデントの発生に気づいた。タガノテイオーは予後不良と診断され、その短い生涯に幕を下ろしたのだった。
その後
松田調教師は「本当にかわいそうなことをした。この状況でも最後まで走り切るなんて普通はできることじゃない。本当に偉い馬だなと思うし、これほどの馬の血を残せなかったことを心から残念に思う。」とコメント。
藤田ジョッキーも検量室で、「まともならぶっちぎっていた。」と無念そうに語った。もちろん競馬にたらればは禁物であり、メジロベイリーが紛れもなく勝者であることを忘れてはならないが。藤田ジョッキーは騎手を引退した後の2017年にも、「俺が乗った中では今でも最強馬だと思っている。」と語っている。
またジャングルポケットの管理調教師だった渡辺栄氏が、札幌3歳ステークスでタガノテイオーを下した後、松田氏に対して「松田君のところの馬の前を走ることは今回で最後かもしれないな。」と語ったというエピソードが残っている。
タガノテイオーの、常に好位に着くレースセンスや抜群の瞬発力、勝負根性といった能力は、周囲からそれほどまでに高く評価されていたのである。
何度も言うように競馬にたらればは禁物ではあるが、もしタガノテイオーが生きていたら・・・ジャングルポケット、アグネスタキオン、クロフネらの黄金世代と、どのような戦いを見せてくれていたのだろうか?タガノテイオーは、そのような想像をせずにはいられないような、魅力に溢れた名馬だった。
なお、初重賞制覇をプレゼントし、その直後に散っていったタガノテイオーは、八木オーナーにとっても極めて思い出深い馬になり、その後八木オーナーが「新冠タガノファーム」を設立しオーナーブリーダーとなるきっかけともなったそうである。同ファームからは後に、タガノテイオーの姉の孫にあたるタガノグランパ(GⅢファルコンステークス制覇)が生まれている。
八木オーナーは後年、タガノテイオーが散った朝日杯について、「このときの無念と、同時に抱いたこの馬の高い能力と類まれなる闘争心への畏怖の念は今も胸に焼き付いております。」と語っている。
血統表
*サンデーサイレンス 1986 青鹿毛 |
Halo 1969 黒鹿毛 |
Hail to Reason | Turn-to |
Nothirdchance | |||
Cosmah | Cosmic Bomb | ||
Almahmoud | |||
Wishing Well 1975 鹿毛 |
Understanding | Promised Land | |
Pretty Ways | |||
Mountain Flower | Montparnasse | ||
Edelweiss | |||
カフェドフランス 1991 鹿毛 FNo.9-e |
Danzig 1977 鹿毛 |
Northern Dancer | Nearctic |
Natalma | |||
Pas de Nom | Admiral's Voyage | ||
Petitioner | |||
*パリスロイヤル 1981 鹿毛 |
Mill Reef | Never Bend | |
Milan Mill | |||
Place d'Etoile | Kythnos | ||
Etoile de France |
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