ダノンブリッジ(Danon Bridge)とは、2006年生まれの日本の競走馬。栗毛の牡馬。
ダノックスがどこからともなく日本に連れて来て、血統マニアをざわつかせた外国産馬。
血の架け橋
通常の競走馬記事なら血統の紹介から入るところだが、この馬については競走成績の方から紹介しよう。
……と言っても、競走成績に語ることは特にない。栗東の森秀行厩舎に預けられ、2008年11月15日、京都・芝1600mの新馬戦でデビューしたがブービー17着。そのあと8ヶ月以上休むことになり、3歳7月の復帰戦のはずだった門別の交流競走は取消、札幌・芝1200mの未勝利戦に向かったが14着。その次の門別の交流競走・ゼウス特別の7着が最高着順で、ラストチャンスの新潟・ダート1800mの未勝利戦をブービー12着に敗れて現役引退となった。通算4戦0勝。
引退後は三木ホースランドパークで乗馬となり、「明藍」という新たな名前を与えられて暮らしている。
というわけで、戦績は有象無象の未勝利馬である。もちろん種牡馬入りしたわけでもなく、繁殖として名馬を産んだということもない。
だが、ダノンブリッジという名前までは覚えていなくても、ある程度年季が入っていて血統の話が好きな競馬ファンに「ダノンになんかすごい珍しい産地と血統のマル外の馬いたよね」と言えば、「ああーいたなあ!」と記憶している人はいるはずだ。
そう、彼はその生産地と血統の圧倒的レア度によって記憶されているのだ。
その血統と生まれ
では、彼の血統と生産地について紹介しよう。まず血統だが、
父Favn、母Summer School、母父Sure Blade。
……いや、Favnって誰?????
母父Sure Bladeはイギリスの重賞4勝馬で、母父としての産駒にSt. Nicholas Abbey。日本ではエイシンフラッシュの血統表に入っている(母母父)のでまだわかるが……父Favnの方はもう「日本では馴染みが薄い」とかそういうレベルではなく、余程の血統マニア・海外競馬マニアでも、当時このダノンブリッジの血統表を見てFavnを知っていたという人はおそらく存在しないのではないか。
それもそのはず、ダノンブリッジは何を隠そうロシア産馬である。
……ろ、ロシア? ロシアって競馬やってるの? はい、パート3国ですらないけど一応やってます。
ソ連時代の1960年代、西側諸国でも活躍した名馬アニリンが知られているが、パート1国レベルで知名度のある馬はそれぐらい。日本競馬とロシア競馬の間には、1909年にウラジオストクで行われた日露大競馬会にて日本のスイテンという馬が日本馬初の海外レース勝利を挙げた、なんて記録があるものの、日本にロシア産馬がやってくるなんてのは前代未聞だったため、2007年に「ロシアから1歳馬が輸入されてきたらしい」という情報が流れてくると日本の血統マニアたちも「ろ、ロシア産馬? 父Favn????」とざわつき混乱した。
有志の調査によると、Favnは2002年の露セントレジャー(露GⅠ)勝ち馬。近親には露オークス馬Sheristanaがいるらしい。ダノンブリッジら2006年産が初年度産駒であるようだ。
そんなダノンブリッジの血統表はこんな感じ。
Favn 1999 栗毛 |
Fabij 1986 栗毛 |
Floridon | Derzkij |
Feya | |||
Biva | Aramis | ||
Bashanta | |||
Veda 1994 栗毛 |
Dotsero | Conquistador Cielo | |
Honest Joy | |||
Valyuta | Whitstead | ||
Fragaria | |||
Summer School 1989 FNo.1-k |
Sure Blade 1983 鹿毛 |
Kris | Sharpen Up |
Doubly Sure | |||
Double Lock | Home Guard | ||
St. Padina | |||
Sumara 1984 |
Nureyev | Northern Dancer | |
Special | |||
River Zara | Riverman | ||
Alzara |
母の方はともかく、父系はマジで謎の名前しか並んでいないが、どうやらこのサイアーラインは8代父のロシアダービー馬Florealに始まり、その産駒Tagorが広げたロシアの土着血統らしい。10代父まで遡って辿り着く名前はSt. Simon。そう、リボー系でなければプリンスローズ系でもなくボワルセル系ですらないセントサイモン直系とかいう、21世紀にそんな血統残ってたの!?という代物である。
さらに凄いのが父Favnの牝系で、14代母まで遡ると出てくる名前がなんとKincsem。え、アルファベット表記だとわからない? 54戦54勝の「ハンガリーの奇跡」キンチェムです。マジかよ。
いったいダノックスはどこからどんな伝手で、何を思ってこんな血統の馬をロシアから輸入したのか……。残念ながら日本では通用しなかったが、彼がロシアに残っていればどうだったのだろう?
ちなみにダノックスは同じ年にもう1頭ロシア産馬を輸入している。ダノンシェルと名付けられたそちらの馬は父がHalo系、母父はMr. Prospector系というわりあい普通の血統で、6戦目で初勝利を挙げてロシア産馬のJRA初勝利を挙げたが、そのあと屈腱炎で引退を余儀なくされた。残念。
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