ロックアウトとは、次の意味を指す。
本記事では2.について述べる。
概要
定義
ロックアウト(作業所閉鎖)とは、労働組合の争議行為への対抗手段として使用者が行う争議行為であり、工場などの職場から労働組合に所属する労働者を締め出し、労働に従事させず、賃金を支払わない状態を発生させることをいう。
性質その1 使用者が労働組合への対抗手段として行う
ロックアウトは使用者が行う争議行為であり、労働組合が争議行為をしたとき、あるいは労働組合が争議行為をする恐れが明白かつ逼迫しているときに、その対抗手段として行われる。
また、労働組合が争議行為を中止して争議行為を再開する恐れが全く無くなったときは、使用者はロックアウトを解除せねばならない。
1966年(昭和41年)5月23日に「労働組合によつて労調法三七条の通知がなされている争議行為に対抗して行うロック・アウトの予告」という題名で労働省労政局労働法規課長が通知を出しており[1]、次の2条件のいずれかに該当するときに使用者が行ったロックアウトは正当な争議行為と認められないことを示した。
以下のいずれかのロックアウトは正当な争議行為ではない。
性質その2 4つの条件を満たすときに使用者の賃金支払い義務が免除される
日本では、①個々の具体的な労働争議における労使間の交渉態度、②経過、③組合側の争議行為の態様、④それによって使用者側の受ける打撃の程度を考慮することになっており、それら4つの条件を満たしたときに使用者のロックアウトが正当な争議行為と認められ、使用者の「ロックアウトの期間における賃金支払義務の免除」が認められる[2]。
この4条件を満たすのはハードルが高いとされる。
性質その3 使用者にとって損失が発生する
他の争議行為と同じことだが、ロックアウトを行うときの使用者は、労働組合に所属する労働者の就労を得られず、いつもよりも生産能率を落とす事になりやすく、損失を発生させやすい。
ロックアウトを行うときの使用者は、派遣労働者や子会社労働者を呼び寄せて就労させて生産を続けることが可能であるが、そうした労働者は労働組合に所属する正規労働者よりも熟練度が低く、正規労働者と同じ生産能力を発揮するわけではない。
行政執行法人や地方公営企業や特定地方独立行政法人はロックアウトできない
行政執行法人(旧・特定独立行政法人)は、ロックアウトすることができない(行政執行法人の労働関係に関する法律第17条第2項)。
地方公営企業や特定地方独立行政法人は、ロックアウトすることができない(地方公営企業等の労働関係に関する法律第11条第2項)。
そもそもの話であるが、行政執行法人や地方公営企業や特定地方独立行政法人の労働組合は争議行為を禁じられている。
関連リンク
関連項目
脚注
- *厚生労働省法令等データベースサービス
- *丸島水門事件の最高裁判決
(昭和50年4月25日)でこのことが示された
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