ロンジンワールドベストレースホースランキングとは、個々の競走馬が年内に獲得したレーティングの最高値をもとに競走馬を順位付けしたものである。
概要
競馬におけるレーティングとは、競走馬が個々の競走で示したパフォーマンスをハンデキャッパーが相対的に数値化したものである。また、その評価行為自体もレーティングと呼ばれる。そのため、数値そのものについてはレートと呼んで評価行為のレーティングと区別する場合もある。レーティングの主な用途としては、パターンレースの格付け評価、国際競走の選出基準、販売カタログでのブラックタイプ表記の補完などがある。
レーティングは各レースごとに各国・各地域のハンデキャッパーによって行われる。しかしレーティングの基準はハンデキャッパーによってバラバラであるため、年内に115以上のレートを獲得した3歳以上の競走馬については国際ハンデキャッパー会議により採点基準が国際的に一定となるよう協議と調整が行われている。一般にレーティングの単位には負担重量を意味するポンドが使用されるが、現在の国際ハンデキャッパー会議ではレーティングをポンドではなく単位のない理論上の数値としている。なおJRAハンデキャッパーは解説番組だとレーティング数値にポンドを添えることもあるが聞こえなかったこととする。
ロンジンワールドベストレースホースランキングは、国際ハンデキャッパー会議で決定されたレーティングのうち、個々の馬が年内に獲得したレーティングの最高値を基準として競走馬を順位付けしたものである。
ランキングはSMILE区分と芝・ダートの区別ごとに発表される。例えば2021年のニックスゴーは、ダート・中距離(129)とダート・マイル(125)の2部門で1位となっている。
また、ランキングの基準として採用されたレーティングはどの競走で獲得したレートかも書いてある。例えば、2021年のエフフォーリアは芝・中距離で124、芝・中長距離で124を獲得しているが、芝・中距離は天皇賞(秋)、芝・中長距離は有馬記念である。同じ区分で同じレーティングを複数獲得している場合、それらは列挙される。例えばスノーフォールの場合はオークスステークス、アイルランドオークス、ヨークシャーオークス(いずれも芝・中長距離)で120を獲得している。
歴史
- 1977年 ロンジンワールドベストレースホースランキングの起源とも言えるヨーロピアンクラシフィケーションがイギリス、フランス、アイルランドの3か国のハンディキャッパーによって開始される
- 1985年 ドイツ、イタリアがヨーロピアンクラシフィケーションに参加
- 1985年 ゲネラルアウスグライヒの勝ち負け関係による手法を導入
- 1986年 インターナショナルクラシフィケーションへ名称を変更
- 1993年 日本がハンデキャッパー会議にオブザーバーとして参加
- 1995年 北米が参加
- 1996年 外国馬の出走が無い場合であっても[1]、日本の国際競走でのレートが掲載対象となる[2]
- 1997年 国際競走に出走した日本、UAE、香港の調教馬は国際競走でないレースのレートも掲載対象となる[3]
- 1998年 国際競走に出走したオーストラリア、ニュージーランドの調教馬は国際競走でないレースで獲得したレートも掲載対象となる[4]
- 2001年 UAEが国際ハンデキャッパー会議に正式参加
- 2003年 カナダ、香港、オーストラリア、シンガポール、南アフリカが参加
- 2003年 掲載対象馬を110ポンド以上から115ポンド以上へ変更
- 2003年 加盟国の調教馬であれば国際競走に未出走であっても掲載対象となれる
- 2004年 ワールドサラブレッドレースホースランキングへ名称を変更
- 2008年 ワールドサラブレッドランキングへ名称を変更
- 2012年 OSAF加盟国が参加
- 2013年 過去の掲載馬に対しレーティング見直しを実施
- 2013年 ロンジンワールドベストレースホースランキングへ名称を変更
ロンジンワールドベストレースホースランキング実行委員会と構成
ロンジンワールドベストレースホースランキング実行委員会(LWBRREC)は国際格付番組企画諮問委員会(IRPAC)の下位委員会であり、主な活動内容は下記のとおりとなる。
- 各国ハンデキャッパーと委員会の中間作業を組織する。
- すべての競馬機関に対し公式レーティングを提供する。
- 世界中のレーティング公表を調整する。
- 各国における格付けシステム導入に関する助言を行う。
- 世界ランキングを作成、IFHA公式サイトを更新する。
委員会は各地域の関連機関からの指名者で構成される。内訳は下記のとおり。
地域 | 内訳 | 人数 | 備考 |
---|---|---|---|
アジア | アジア競馬連盟(ARF)から指名 | 3名 | 現委員のうち1名は共同議長 |
ヨーロッパ | 欧州パターン委員会(EPC)から指名 | 3名 | 現委員のうち1名は共同議長 |
アメリカ | 北米から指名 | 2名 | 現委員は3名だが内2名は共同で1票として扱う |
アメリカ | OSAFから指名 | 1名 | |
書記 | 1名 |
2022年掲載馬
カテゴリー別チャンピオン
2022年の各区分の最上位馬は以下の通り。外国馬の名前はどこかで翻訳されているものはその名前で、それ以外は元の字のままで記載する。
距離区分 | 芝 | ダート |
---|---|---|
短距離 | ネイチャーストリップ (TJスミスステークス: 126ポンド) (キングズスタンドステークス: 同上) |
スピーカーズコーナー (カーターハンデキャップ: 122ポンド) |
マイル | バーイード (クイーンアンステークス: 130ポンド) |
フライトライン (メトロポリタンハンデキャップ: 130ポンド) |
中距離 | バーイード (インターナショナルステークス: 135ポンド) |
フライトライン (パシフィッククラシックステークス: 140ポンド) |
中長距離 | イクイノックス (有馬記念: 126ポンド) |
モードニゴール (ベルモントステークス: 120ポンド) |
長距離 | キプリオス (カドラン賞: 124ポンド) |
フィアレス (バードストーンステークス: 115) |
日本調教馬の掲載一覧
2022年に日本馬のランクインした馬は以下の通り。同一馬がランクインしている場合は馬名と性別を統合し、同一馬場・距離区分でレーティング同一が複数並ぶ場合はレーティング・馬場・距離を統合し、それ以外は分離している。
過去の掲載馬
過去には、ジャスタウェイがドバイデューティーフリーに優勝した2014年に、芝・マイルの区分で130ポンド(その年の最高レーティング)を獲得したことがある(第2位は芝・中長距離区分129ポンドのエピファネイア(ジャパンカップ)、第3位は芝・マイル区分のエイブルフレンド(香港マイル)、芝・中距離区分のオーストラリア(インターナショナルステークスなど)、芝・マイル区分のキングマン(セントジェームズパレスステークス)、芝・中距離のザグレーギャツビー(アイリッシュチャンピオンステークス)、バラエティクラブ(チャンピオンズマイル)の127ポンドが続いた)。
関連動画
関連リンク
関連項目
脚注
- *加盟国の調教馬と同じレースに出走した日本馬の該当レースについては1996年以前から国際会議において採点対象とされていた。例えば1986年のシリウスシンボリL区分117ポンドや1992年のトウカイテイオーL区分126ポンドなど。ただし、トウカイテイオーについてはインターナショナルクラシフィケーションへは掲載されておらず、レースレーティングの算出等のための評価に留まっている。
- *掲載対象となるのは国際競走で獲得したレートのみで、国際競走に出走した馬であっても国際競走でないレースで獲得したレートについては掲載対象とならない。例えば1996年のサクラローレルであれば、JRAの公式クラシフィケーションに掲載されたレートは有馬記念でのものだったが、インターナショナルクラシフィケーションに掲載されたレートは国際競走であるオールカマーのレートだけだった。
- *例えば2000年、宝塚記念に出走したラスカルスズカについては天皇賞(春)2着のレートがE区分115ポンドとしてインターナショナルクラシフィケーションに掲載された。これが1996年であればインターナショナルクラシフィケーションに掲載されたのは国際競走である宝塚記念のレートだけだった。一方で天皇賞(春)で3着となったナリタトップロードのレートは、JRAの公式クラシフィケーションにはE区分114ポンドと掲載されたが、国際競走への出走がなかったためインターナショナルクラシフィケーションの掲載対象とはならなかった。
- *ただしオーストラリアとニュージーランドはインターナショナルクラシフィケーションに正式参加しておらず、オーストラリア調教馬やニュージーランド調教馬の評価はイギリス、フランス、アイルランド、ドイツ、イタリア、アメリカ、日本のハンデキャッパーが行った。
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