ウインドインハーヘア(Wind in Her Hair)とは、1991年生まれの英国の競走馬・繁殖牝馬である。
伝説的名馬を世に送り出し、それ以外のファミリーも非常に活気がある名牝。
通算成績13戦3勝[3-3-2-5]
概要
父:Alzao、母:Burghclere、母父:Bustedというアイルランド産馬。父は米国産馬で、現役時代は英仏伊を渡り歩きGⅢ1勝を挙げる程度にとどまったが、種牡馬としては牝馬を中心に多くの活躍馬を送り出した。母は1勝馬だが、その母は英1000ギニー、ディアヌ賞(仏オークス)を勝った名牝Highclere。ファミリーには英二冠馬Nashwan、GⅠ4勝のNayefなど活躍馬がずらりと並ぶ良血である。実はウインクリューガーも近親だったりする(半姉*インヴァイトの息子)。母父は1967年の英国年度代表馬。キングジョージやエクリプスS等を制した。
2歳時は2戦して勝ち星がなかったが、3歳になるとリステッド競走を2連勝。英オークスでは4番人気ながら中団からよく追い込んだが、後に牡馬を相手にアイリッシュダービーを制するBalanchineに全く敵わず2着に敗れる。その後も勝利は挙げられずに3歳シーズンは6戦2勝で終える。
翌4歳には繁殖牝馬となり、欧米双方で2歳王者となったAraziの仔を受胎。しかしそのまま現役を続行。日本ではまずありえないが、欧州では時折あることらしい。
しかもこのウインドインハーヘア、妊娠中に5戦して、1勝を挙げたのである。しかもGⅠで。ドイツのGⅠアラルポカル(現在のバイエルン大賞)だったのだが、相手も決して弱くはなく、ドイツの伝説的名馬Monsunとかもいたのである。いろいろとありえん。
アラルポカルの次走ヨークシャーオークスで3着だったのを最後にアイルランドで繁殖入りし、米国にも移動するなど4頭の産駒を産んだが、初仔*グリントインハーアイの成績が微妙だったことでクールモアにあっさりと見切りをつけられ2000年に売りに出されてしまう。そこでノーザンファームが購入し、ウインドインハーヘアは日本に来ることとなった。なお、その後2番仔*ヴェイルオブアヴァロンが米国で重賞を勝つなど活躍し、クールモアが買い戻しのオファーをしたらしい。時すでに遅しだったが。そのうち3頭目の産駒が、米国から日本に輸入され、5歳のデビューから3ヶ月半で5連勝してスプリンターズSに挑んだレディブロンドである。
日本での初仔(全体では5番仔)となるライクザウインドは未勝利に終わったが、翌年*サンデーサイレンスとの間に生まれた初の牡駒ブラックタイドはGⅡスプリングSを勝利。そしてその翌年に産んだブラックタイドの全弟となる牡馬こそ、史上2頭目の無敗の三冠馬となった怪物ディープインパクト。この2頭の誕生でウインドインハーヘアは一躍名繁殖牝馬となったのである。その後生まれた8頭の産駒は期待ほどの活躍ができなかったのだが……。
ウインドインハーヘアは2012年を最後に繁殖から引退し、ノーザンホースパークで幼駒の面倒を見るなど悠々自適の余生を送っている。海外馬だったこともありあまり知られてはいないが、実はウイニングチケット死去後における日本に繋養されている存命のGⅠ馬では彼女が最高齢にあたる。
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そのウインドインハーヘアの血脈、日本ですごい勢いで広まった。ディープインパクトは父*サンデーサイレンスの後を継いで無敵のリーディング種牡馬となり、その兄ブラックタイドも種牡馬としてGⅠ7勝馬キタサンブラックを世に送り出した。また、ディープの1歳下の全弟であるオンファイアも重賞3着が最高成績ながら血統を買われて種牡馬入りし、重賞馬ウキヨノカゼを輩出している。
牝系においてはレディブロンドが帝王賞馬ゴルトブリッツを輩出。以降の世代からもダービー馬レイデオロ・エプソムカップ勝ち馬レイエンダの兄弟、オークス3着のアドマイヤミヤビなど活躍馬を続々と送り出し活況を呈している。さらに2006年産まれのダンスインザダーク産駒ランズエッジは、繁殖牝馬として孫世代から有馬記念馬レガレイラ・桜花賞馬ステレンボッシュ・菊花賞馬アーバンシックと、2024年クラシック世代の主役格3頭を送り出した。
また、レディブロンド以外の欧州時代に生まれた3頭の牝駒も続々と輸入され来日。2番仔の*ヴェイルオブアヴァロンが日本で重賞3着5回のリルダヴァルや目黒記念2着のヴォルシェーブを産んでいる。
ウインドインハーヘアの血脈が本当に強さを発揮するのはまだまだこれから……かもしれない。
血統表
Alzao 1980 鹿毛 |
Lyphard 1969 鹿毛 |
Northern Dancer | Nearctic |
Natalma | |||
Goofed | Court Martial | ||
Barra | |||
Lady Rebecca 1971 鹿毛 |
Sir Ivor | Sir Gaylord | |
Attica | |||
Pocahontas | Roman | ||
How | |||
Burghclere 1977 鹿毛 FNo.2-f |
Busted 1963 鹿毛 |
Crepello | Donatello |
Crepuscule | |||
Sans le Sou | *ヴィミー | ||
Martial Loan | |||
Highclere 1971 鹿毛 |
Queen's Hussar | March Past | |
Jojo | |||
Highlight | Borealis | ||
Hypericum |
主な産駒
- レディブロンド (1998年産 牝 父:Seeking the Gold) 6戦5勝
- ブラックタイド (2001年産 牡 父:*サンデーサイレンス) 22戦3勝
- 主な勝ち鞍 2004年スプリングステークス(GII)
- ディープインパクト (2002年産 牡 父:*サンデーサイレンス) 14戦12勝
関連動画
アラルポカルの動画はなかったので、2着になった英オークスの動画をどうぞ。
関連項目
主な牝系子孫
※重賞級を中心に記載
*ウインドインハーヘア 1991 アラルポカル(独G1)
|*グリントインハーアイ 1996
||Jeremy 2003 サンダウンマイル(英G1)、ジャージーS(英G3)
|*ヴェイルオブアヴァロン 1997 デラローズH(米GⅢ)
|*レディブロンド 1998
||ラドローダ 2006
|||レイデオロ 2014 東京優駿(GⅠ)、天皇賞・秋(GⅠ)など
|||レイエンダ 2015 エプソムC(GⅢ)
||ゴルトブリッツ 2007 帝王賞(JpnⅠ)など
|ライクザウインド 2000
||レディスキッパー 2007
|||アドマイヤミヤビ 2014 クイーンC(GⅢ)
||||アドマイヤテラ 2025 目黒記念(GⅡ)
||ハワイアンウインド 2009
|||ルフトシュトローム 2017 ニュージーランドT(GⅡ)
|ブラックタイド 2001 スプリングS(GⅡ)
|ディープインパクト 2002 三冠競走などGⅠを7勝 JRA顕彰馬
|ランズエッジ 2006
||ロカ 2012
|||レガレイラ 2021 ホープフルS(GⅠ)、有馬記念(GⅠ)
||エッジースタイル 2013
|||アーバンシック 2021 菊花賞(GⅠ)、セントライト記念(GⅡ)
||ブルークランズ 2014
|||ステレンボッシュ 2021 桜花賞(GⅠ)
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