ステレンボッシュとは、2021年生まれの日本の競走馬である。鹿毛の牝馬。
生産者はノーザンファーム、名義上の馬主は吉田勝己氏(詳細後述)、管理調教師は国枝栄(美浦)。
概要
父エピファネイア、母ブルークランズ、母父ルーラーシップという血統。父はシンボリクリスエスとシーザリオを両親に持つ超良血で、圧倒的パワーを武器にGⅠ2勝。種牡馬としてはデアリングタクトやエフフォーリアを送り出すロケットスタートを決めたがその後はやや頭打ちとなっていた。
母は芝2000m前後で鋭い決め手を武器に3勝を挙げた素質馬。血統が素晴らしく、父がルーラーシップなので父方の祖父母はキングカメハメハとエアグルーヴ、さらに母方の祖父母がダンスインザダークと*ウインドインハーヘアであり、血統表の2代前の4頭に超名馬しか並ばない、エピファネイアに勝るとも劣らない良血である。
母父の血統構成は前述の通りで現役時代は香港GⅠ1勝。種牡馬としてはロードカナロアに押され気味ではあるがキセキやドルチェモアを出すなど堅実に成績を残してはいる。
馬名の由来は「南アフリカの都市名」。南アフリカでは2番目に歴史ある街で、ワインの産地としても名高い。母ブルークランズの馬名が南アフリカの橋の名前からとられており、そこからの連想と思われる。
なお本馬の馬主名義は吉田勝己氏となっているが、実際には社台グループオーナーズ(馬主資格保持者による共有馬主クラブ)の募集馬であり、1口500万円×10口の総額5000万円で募集されている。
文教都市より良血娘来たる
2歳
7月の札幌開催でデビューを迎え、横山武史を鞍上に芝1800mの新馬戦に出走。当初2番手につけたのだが1コーナーで外に膨れた逃げ馬の煽りを受けて大きく外に振られる不利を受ける。しかしすぐに立て直して中団につけ、直線の追い比べを上がり最速の末脚で鋭く抜け出し1馬身半差で初勝利を収める。
10月まで間隔を空け、2戦目は自己条件のサフラン賞(中山芝1600m)。前走の勝ちっぷりから1番人気に支持された。レースは7頭立ての後方2番手からになり、そのまま大外を回って差しにいく大味な競馬になる。直線は上がり2位の末脚で迫ったが、終始内でロスなく立ち回ったスプリングノヴァにハナ差振り切られ惜しい2着となってしまう。
3戦目は東京に移って赤松賞(芝1600m)。トム・マーカンド騎手に乗り替わったこのレースも一番人気に推され、今度は人気に応えて4番手から直線半ばで先頭に立ち、そのまま押し切って2勝目を挙げた。
これでOPに上がったステレンボッシュはGⅠ阪神JFに出走。大器チェルヴィニアの故障回避もあり、この年は絶対的本命不在の混戦模様で、単勝オッズはアルテミスS2着の良血サフィラ、京王杯2歳S勝ち馬コラソンビート、新潟2歳S勝利以来3ヶ月半ぶりのアスコリピチェーノ、条件戦アスター賞で5馬身差の圧勝を決めたキャットファイト、そして本馬の5頭が団子状態。重賞初挑戦で勝ち方も派手ではない本馬は8.7倍の5番人気に落ち着く。
クリストフ・ルメールに乗り替わった本番。ゲートは五分に出て馬群の真ん中あたりに控え、10番手で直線を向く。徐々に外へ持ち出されながら追われたがなかなかエンジンがかからず、残り200mあまりで馬場の中ほどに戻ったところでようやく加速が乗る。そこから上がり最速33秒5の末脚で追い込んだが、一足早く抜け出していた3番人気アスコリピチェーノにクビ差届かず2着に惜敗。ルメール騎手、国枝師ともに反応の遅さを敗因に上げたが、一方で国枝師は「次に繋がると思う」と今後への手応えも感じていた。
3歳
クラシックシーズンはトライアルを使わず桜花賞に直行。近年はアーモンドアイやリバティアイランドなどの活躍でこの路線も主流になりつつある。
この年は同じく直行したアスコリピチェーノが1番人気で、本馬が2番人気。その後にはクイーンカップ勝ち馬のクイーンズウォーク、負傷療養から復帰初戦のチェルヴィニア、フィリーズレビューで2着と不覚を取ったコラソンビートまでが単勝オッズ一桁の人気を集めた。
本馬のほかにチェルヴィニアもクリストフ・ルメールのお手馬であったのだが、なんと直前のドバイでルメールが落馬し骨折、どちらにも乗れなくなってしまう。そこでステレンボッシュ陣営は短期免許で来日した「雷神」ジョアン・モレイラを招聘して臨んだ。
8年ぶりに桜満開の桜花賞となった阪神競馬場。ゲートはそれほど早くなかったがすぐに中団につけ、ごちゃつく馬群の中でアスコリピチェーノのクイーンズウォークを2頭まとめてマークする絶好のポジションを取り待機。前は前半3ハロン34秒5とまずまず速いペースで流れる。
4コーナーで前のアスコリピチェーノに内から並びかけるように仕掛け、一瞬アスコリピチェーノを外に振りながら直線に入ると馬場の真ん中を力強く伸び、残り100mで先頭に立つ。そこへアスコリピチェーノが猛然と突っ込んでくる前走とは逆の展開になったが今度はこちらが追撃を振り切り1馬身差でゴール。ソダシ、リバティアイランドに次いで桜花賞史上3位となる1分32秒2の高速決着を制した。
国枝調教師は後に三冠牝馬となったアパパネ、アーモンドアイに続いての桜花賞3勝目。鞍上ジョアン・モレイラは日本の五大クラシック初勝利、次回以降の短期免許取得に向けて大きな前進となった。
殊勲のモレイラは「先頭に立っても余裕があり強い勝ち方をしてくれた。素晴らしい馬」と絶賛、「距離が伸びても問題ない」と太鼓判を押した。実は阪神JF2着のレース後にルメールも「距離は伸びた方がいい」とコメントしており、二冠、三冠に向けてさらなる期待を抱かせる結果となった。
後日、正式にオークスへの直行を発表。2着のアスコリピチェーノはNHKマイルカップへ向かい、本馬が単勝2.3倍の断然人気。桜花賞組のチェルヴィニア、ライトバックまでが単勝10倍以内で続いたほか、桜花賞からはクイーンズウォークやスウィープフィート、別路線からはアドマイヤベル、タガノエルピーダ、コガネノソラなどが集った。鞍上はモレイラが当日母国ブラジルのG1レースに騎乗する為、ジャスティンミラノで皐月賞を制した戸崎圭太に乗り替わる。
4枠7番から好発進。1,2コーナーではやや包まれる場面もあったが冷静に位置を取り、馬群の真ん中で折り合いをつけて追走。3コーナー手前で巧みに内へ進路を取り、中団のインで4コーナーを通過。
直線も一時前が壁になったが、鞍上の戸崎が好判断で進路を切り開き内目から馬群を突破。このまま一気に突き抜けるかに思われたが、そこへ外から2番人気チェルヴィニアが勢いよく迫ってきた。内外離れての末脚比べになり、最後の最後に半馬身かわされたところがゴール板。あと僅かのところで牝馬二冠はならなかった。レース中に右トモを落鉄するアクシデントに見舞われていたことも判明、余りにも惜しい結果となった。
夏休みを経て秋華賞へ直行。同じく直行のチェルヴィニア、ローズSを勝利したクイーンズウォークとの再戦となった。やや不利な8枠を引いてしまったこともあってか1番人気はチェルヴィニアに譲っている。
ゲートこそ五分に出たが二の脚がつかず、馬群からやや置いて行かれる格好になってしまう。持ち直してチェルヴィニアを見る位置につけたが不自由な競馬を余儀なくされ、直線も中団でやや置かれ気味になる。ラスト1ハロンで馬群を割りながら伸びてはきたが、先に突き抜けたチェルヴィニアには置き去りにされ、大外を追い込んだボンドガールにも半馬身差し切られて3着。初めて連対を外す不本意な結果となった。
続いて香港ヴァーズに出走。モレイラを鞍上に国内オッズでは1番人気に支持された。不利な大外枠ということもあり後方からの苦しい競馬となり、早めに外からまくって勝負に出て、直線で一旦先頭に立ったものの最後には失速気味となり、3着。
4歳
4歳初戦は大阪杯。モレイラ騎手を鞍上に3番人気に支持されたレースでは、好スタートを切って後方を追走したものの末脚が不発で手応えがなく、13着に終わった。
血統表
エピファネイア 2010 鹿毛 |
*シンボリクリスエス 1999 黒鹿毛 |
Kris S. | Roberto |
Sharp Queen | |||
Tee Kay | Gold Meridian | ||
Tri Argo | |||
シーザリオ 2002 青毛 |
スペシャルウィーク | *サンデーサイレンス | |
キャンペンガール | |||
*キロフプリミエール | Sadler's Wells | ||
Querida | |||
ブルークランズ 2014 鹿毛 FNo.2-f |
ルーラーシップ 2007 鹿毛 |
キングカメハメハ | Kingmambo |
*マンファス | |||
エアグルーヴ | *トニービン | ||
ダイナカール | |||
ランズエッジ 2006 鹿毛 |
ダンスインザダーク | *サンデーサイレンス | |
*ダンシングキイ | |||
*ウインドインハーヘア | Alzao | ||
Burghclere |
同世代の有馬記念馬レガレイラ・菊花賞馬アーバンシックは彼女のいとこ(レガレイラの母ロカ及びアーバンシックの母エッジースタイルがステレンボッシュの母ブルークランズの半姉)。
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関連静画
関連リンク
関連項目
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