オースミサンデーとは、1994年生まれの競走馬。ランニングゲイルが勝った弥生賞の二着馬。
概要
父サンデーサイレンス 母ロジータ 母父ミルジョージ。父は言うまでもない名種牡馬。母は川崎競馬場所属で牝馬ながら南関東三冠を達成し、中央にも挑戦。オールカマーでは5着に踏ん張った名牝である。
ちなみに母の世代はオグリキャップの一つ下であり、オグリが二着になったJCで最下位になっている(走り慣れない芝で世界レコード決着では仕方が無い)。この事と、当時それなりに盛り上がっていた南関東競馬で無敵の強さを誇ったことで、中央ファンにも結構知られた馬であった。
ロジータは初産駒で中央で二勝したシスターソノを出す。そして第3仔として送り出してきたのがオースミサンデーだった。サンデーサイレンスにとっても第二世代目の産駒にあたる。
地方の名牝と、前年から猛威を振るいだしたサンデーサイレンスの仔ということでデビュー前から大きな注目を集めたオースミサンデー。デビュー戦は一番人気。鞍上は武豊騎手(ちなみにここにはステイゴールドも出ていた)。しかし大きく出遅れてしまい、7着。
ありゃ~、よくいる良血駄馬か?とも思われたのだが。次走、同じ阪神芝2000mで初勝利(実はここにもステイゴールドが出ていた)。出遅れを克服しての勝利に期待は膨らむ。
年が明けて鞍上がオリビエ・ペリエ騎手に変わった京都ダート1800mでは一番人気に応えてあっさり勝利。この辺からファンはこの良血馬がクラシック戦線でいけるんではないか?と注目し始めた。そして弥生賞でじっくり見てやろうと待ち構えたのである。まぁ、関東のファンはあんまり関西の条件戦は見ないよね。
そして関東のファンの前に姿を現したオースミサンデーに、ファンは言葉を失った。いやいや。いい馬だったんである。大きな馬であったが、すらっとして、柔らかな曲線を描く骨格。長くてこれも柔らかな首差し。繋ぎが長く、蹄も良い形。黒い馬体は濡れたような薄い皮膚で覆われ、ピカピカ輝いていた。
おおお、こ、こいつはすげぇ!と、ファンは思った。これは大物だと。このレースには一番人気のランニングゲイルはもちろん、メジロライアン産駒の期待馬エアガッツ、サンデーサイレンス産駒で「一番の大物」と言われていたサイレンススズカ、サニーブライアンも出ていたのであったが「将来性」を感じさせるという意味ではオースミサンデーが一番であった。
が「でも今日はいらない」と思った人も多かった。いかにもまだ馬が薄く、まだまだ成長過程にあることが明らかだったからだ。なので、無茶苦茶状態が良かったランニングゲイルと、なんか暴れていたけど良い馬であることは間違い無いサイレンススズカなんかを買った人が多かった。
が、オースミサンデーは3コーナーで置かれながら直線外を回って追い込んで二着したのである。これには逆にびっくりした。馬体があんなに未完成な状態であんなレースが出来るなら、クラシックで相当いい所まで行くぞあれ!と入れ込み始めたファンも多かった。少なくともゲートでリンボーダンスしたスズカよりもサンデーならこっちだな!と追い掛ける馬をチェンジした人もいたとか。一方で、三着になったサニーブライアンはスルーされていた。
そして皐月賞。河内騎手鞍上のオースミサンデーは4番人気に支持された。前走よりも12kgも馬体が増えていたが、太め感はまったく無く、力強さを増していた。おおお、これは行けるかも。
レースでは、ランニングゲイルやメジロブライトが後方に控える中、比較的良いポジションでレースを進めた。3コーナで抜群な手ごたえで先頭に立ったサニーブライアンに対して、オースミサンデーは大外に持ち出し、良い感じで差を詰めに掛っていた。河内騎手も手ごたえが良かったのだろう。4コーナーではかなり本気で追い出していた。
そして直線。あれ?なんか見覚えの無い馬が先頭を走っているが、オースミサンデーも来るはず!
・・・と、思った時、直線で一気に後ろに引き離されて行く馬が・・・。
気が付いた時にはレースは終わっていた。5万馬券が出て騒然となる中山競馬場。しかし、その一区画だけは静かだった。河内騎手が下馬し、厩務員や調教師も集まっているようだった。
その時はまだ、オースミサンデーが普通に立っているようにも見えたし、暴れてもいなかったから「大丈夫かな」「大きな怪我かな?」「心配だな」とファンは思ったものの、まさかオースミサンデーをもう見る事が出来なくなるとまでは思っていなかった。
しかし、翌日の新聞でファンは彼の死を知る。左第一指種子骨粉砕骨折。予後不良処分。
勿体無い。なんで勿体無いかと言えば、あの馬はまだまだこれからの馬だったからだ。これから、皐月賞を終えてダービー、夏、秋、古馬とどんどん良くなるだろうなぁと楽しみにさせるような馬体だったのだ。筋肉ムキムキの無理やり鍛えた馬とは違う、伸びやかで柔らかで流麗なその馬体は間違いなく「これから」の馬だったのだ。
こんなことなら弥生賞を惨敗して皐月賞に出られなければ良かったのに。そんな事さえ思ったものである。
弥生賞で先着したサニーブライアンは二冠を達成。ゲートでリンボーやったサイレンススズカは、翌年に異次元の逃亡者として覚醒。新馬戦で顔を合わせたステイゴールドはシルバーコレクターとして長く活躍し、多くの父同様気性難の 名馬を世に送り出した大種牡馬として大成功した。そういう同期の活躍馬を見るたびに溜息が出るのである。
オースミサンデーも生きていたら、彼らに劣らぬ歴史に残る名馬になれただろうに、と。
血統表
*サンデーサイレンス Sunday Silence 1986 青鹿毛 |
Halo 1969 黒鹿毛 |
Hail to Reason | Turn-to |
Nothirdchance | |||
Cosmah | Cosmic Bomb | ||
Almahmoud | |||
Wishing Well 1975 鹿毛 |
Understanding | Promised Land | |
Pretty Ways | |||
Mountain Flower | Montparnasse | ||
Edelweiss | |||
ロジータ 1986 鹿毛 FNo.4-m |
*ミルジョージ 1975 鹿毛 |
Mill Reef | Never Bend |
Milan Mill | |||
Miss Charisma | Ragusa | ||
*マタテイナ | |||
メロウマダング 1981 鹿毛 |
*マダング | Habitat | |
Jellatina | |||
スピードキヨフジ | *チャイナロック | ||
イチシンヒカリ | |||
競走馬の4代血統表 |
関連動画
関連リンク
関連項目
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